
些細で馬鹿な思い出が、私の中でホローリとくる思い出
実家が港町で蟹が取れるので、季節になると度々母が蟹を送ってきてくれていた。
ある日、母に
「蟹は、身を取るのが面倒でねー」
と何気なく言った。
すると、その後送ってきてくれた蟹は、見事にほぐした後の蟹の身パックだった。
驚いて母に電話してみると、
「ほぐすのが大変だっていうから、一晩かけてほぐしちゃったよ」
と笑っていた。
その電話で
「その荷物の新聞紙にいいものが張り付いているから、ちゃんと見てね!」
とも言われた。
良く新聞紙を見てみると、張り付いた一万円札が…。
いつも、娘のウケを狙う母親だった。
荷物に空瓶入れてタイトルが「○○(田舎の名前)の空気♪」
とか、留守番電話に入れる最後の言葉は
「バイナラ」
だったり…。
去年母が亡くなって、こういう凄い些細で馬鹿な思い出が、私の中でホローリとくる思い出に変化した。
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