
私をずっと守ってきてくれたお兄ちゃんです【一緒に大きくなった愛犬】
私には、物心ついた頃から一緒に大きくなった愛犬がいました。
シベリアンハスキーのオス。
大きくてフワフワ、性格はとっても穏やかで優しくて、私にとってお兄ちゃんの様な存在で家にいる時はずっと一緒にいました。
色んなところにも行きました。
夏にはキャンプ、海、冬はスキーと我が家の大事な家族です。
私はまだ小さかったので、大きいシベリアンハスキーの散歩にはついて行けないのに、毎回「私も行く」と泣いてきかなかったみたいです。
たまに一緒に連れていってくれた時は、私に合わせるようにいつもよりゆっくり歩いてくれていたそうです。
ある日お留守番をしていると、家に知らないおじさんが入ってきました。
私は見たこともない大人が家の中にいるのを見て、怖くて動けずにいました。
「お父さんとお母さんは~?」
なんて聞かれても、震えるばかりでした。
玄関を上がろうとした時、愛犬が出てきてくれました。
ものすごい形相で、今にも噛みつくぞと言わんばかりに威嚇していました。
おじさんはそれを見ると、すぐ何も言わずに逃げていきました。
それを見て愛犬は、いつもの優しい顔になり私の近くへ来てくれました。
守ってくれたんだ、と思い安心して涙が止まりませんでした。
この出来事は、今でも鮮明に覚えています。
愛犬が威嚇する姿を見たのは、あれが最初で最期でした。
その日の晩御飯は、豪勢なものに変えてお礼を言いました。
そんな愛犬もやはり人間と同じように長く生きることはできません。
私が大学生になった頃からみるみる弱り、寝たきり状態に。
オムツも欠かせなくなってしまいました。
そんな姿を見るのはつらくて、涙をこらえることができない時もありました。
でも、私をずっと守ってきてくれたお兄ちゃんです。
妹の私も頑張らなければという気持ちで、毎日過ごしました。
少しでも一緒にいたくてアルバイトもやめ、家にいつも誰かいるようにしました。
最期は私と母に看取られて天国へ旅立ちました。
この世の終わりかと思うくらい辛くて、立ち直るのに時間がかかりましたが、それでも愛犬が私にくれた愛は消えません。
私が母に「もっといっぱい写真を撮っておけばよかった」と言った時、母は「大丈夫、写真がなくても大事なことは心の中にずっとあるから」と教えてくれました。
愛犬が天国で心配しないよういつまでもグズグズ言ってたらダメだ、と思えるようにもなりました。
もうすぐ命日です。
大好きだったおやつを買って帰ろうと思います。
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