
町の王様
もうこの世に居ない8歳の弟の日記を見た。
弟の調子が悪そうだったので、病院に連れて行った時、余命宣告された。
俺も、母さんも父さんも泣いてた。
俺のうちの近くには、小さな商店街が有った(以後S商店街)。
俺はS商店街の人たちに頼みこみ、弟に最高の日々を送らせてあげて下さいと頼んだ。
死ぬ30日前
「みんなぼくが歩くとやさしくなる。ぼくは王さまになったんだ!」
20日前
「ねこちゃんをいじめてたやつをおこった。やおやのおじちゃんもいっしょに言ってくれた、ぼくは王さまだから、だれにもふこうにさせないようにする」
ちょうど10日前くらいに、容態が急変し、入院することになった。
9日前 「びょういんにはほかの子もいて楽しい、おせきがでるとくるしいけど、ぼくは王さまだからなさけないところはみせない!」
3日前 「みんながどうしてるか気になる、王さまはお兄ちゃんにすこしまかせたから、ぼくは元気になったらまた王さまになるんだ」
1日前 震えた字で 「くるしいけどがまん、だれにもくるしいところは見せない。だってぼくはこの町の王さまだから」 と書いてあった。
お前はずっとこの町の王様だよ!
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