
その日、私はお母さんに「ありがとう」といえた
いつも私は、お母さんと喧嘩ばっかしてた。
いつもお母さんに頼って生きていた私は、目覚まし時計で起きられず起こしてもらってるのだが、時々起こすのが遅い。
そういうときも全部「早く起こさねぇのが悪いんだろ!!!」とか言ってた。
お母さんも反抗して「だったら私でおきなさい!!」とか言って喧嘩。
一回警察に呼ばれたときも、お母さんにすげえ怒られた。
家に帰るのが遅いと、わざわざ探して友ダチがいるのに帰らせれるし、ぶっちゃけ私はそんな母親が大きらいだった。
ある日、ちょっと大きい喧嘩をした。
母:何であんたはおにいちゃんと違って何も出来ないの!!!もうちょっと子供らしくしなさい!!」
自:あんたのせいなんだよ!!!
兄ちゃんには、私立行かせるのにウチにはいかせてくれない、
いつも仕事でろくに授業参観にもこない!
いつも、ウチを保育園でヒトりぼっちにさせて、
母親ずらしてんじゃねえよ!
あたしはあんたの事母親だともう思ってねえよ!!!
あんたの事、母親だと思ってねえよ!!
この一言を聞いたとたん、いつもは口うるさいお母さんが黙った。
言い過ぎたかなとは思ったけど、それはそれでもういいと思った。
どうせ愛されてない子供に言われただけなんだから。
そう思った。
すごい勢いで私の部屋にこもると、少しお母さんのことがきになった。
ちょっと様子をみてみよう・・・
母親が泣いていた。
あんなに強い母が泣いていた。
そして独り言でこんなことを言っていた。
「私のせいだ」
目頭が熱くなった。
こんな母親みたことない。
みたくない。
すぐに、部屋にまた戻った。
気分転換にTVでもみようか・・・
おもしろくない、そういえばまだ見てないビデオ録画したのあったな。
そうやって探すと、母親の字で私の名前が書かれたビデオがあった。
なんだろうと思ってみてた。
そこには幼い頃の私が、大事そうに微笑んでる母親の腕の中にいた。
ビデオの中のおかあさんはとてもやさしくて、なんども私をビデオに写して、私の名前を呼んでくれていた。
そしてビデオでこんなことをいっていた。
「大すきよ。
多分私の子だから何度も反抗するでしょう。
だけど、あなたは私の大好きな子よ。ずっとずっと」
何年間も流してない涙が自然と出てきた。
その日、私はお母さんに「ありがとう」といえた。
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