母は最後まで、そういう母でした

母は最後まで、そういう母でした

亡くなる前の1週間前の話です。

僕は結婚して子供、妻を連れて帰郷し、病院に母の看病に行っていました。

その頃すでに母は、食べ物を食べては吐き、1日に口にできるものはスプーン一杯のアイスクリームだけでした。

夜7時、夕食が運ばれてきました。

母はそれに気づかず、つらそうに眠っていました。

そして午後8時になって、食器を片付ける音が聞こえてきたので、僕は母をそっと起こし、少しでもいいから食べて寝るよう勧めました。

母は、ゆっくり起き上がると、茶碗を手に持って、目をぎゅっとつむって、おかゆをかきこみ初めました。

僕が、「そんなに急いで食べたら、また吐いちゃうからゆっくり食べて」というと、母は僕にこういいました。

「だって、自分が早く食べて、栄一を家に帰してやらなきゃあ、家で待ってる美枝子や孫がかわいそうだ。」

それを聞いて、僕は頭が真っ白になりました。

病室では泣けず、母を寝かせて病院の駐車場の車のなかで声を上げて泣きました。

母は最後まで、そういう母でした。

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