手元にはあなたがくれた沢山の絵や物語があるから大丈夫

手元にはあなたがくれた沢山の絵や物語があるから大丈夫

私は昔から人とコミュニケーションをとるのが苦手で、うまく自分の事を伝えられないし、伝えようとすると妙にドキドキしちゃって自分の意見なんて言えなかった。

自分から輪に入る事もできなくて、みんなと一緒に遊びたくても「私もいれて」の一言が言えない。

うまくおしゃべりできないから、みんなからも楽しくない子!って思われて、学童期はいつも一人で過ごしてた。

いじめられてはないんだけど、学校からは早く帰りたかった。

早く家に帰って絵を書いたり、物語を作ったりしたかった。

普通の子は家に帰ると母親に

「今日、学校でこんな事があったよ」

とか

「○○ちゃんと遊んでね、楽しかったよ」

とか、そんな事話すと思うけど、私の場合、違ってた。

学校での話がない代わりに自分の書いた絵や物語をたくさん、お母さんに上げてた。

なんでだろう。

人とうまくコミュニケーションが取れない歯がゆさが作品を作るという作業にかりたててたのかな。

学校での話を全然しない私をきっと母は不思議に思っていたと思う。

でも、何も聞かなかった。

ただ、私が渡した絵や物語について

「上手に出来てるね。こんなにたくさん書けるなんてすごいじゃない?」

っていつも褒めてくれた。

そんな母の言葉が嬉しくて、気付けば、どんなに適当に書いた絵も内容がない物語でも何でもかんでも母にあげていた。

きっと自分が親の立場だったら、「この子、大丈夫かな?」って思ったりするけど、母はただただ嬉しそうにもらってくれた。

あれから数年、私はすっかり大人になって昔よりは普通に人とコミュニケーションがとれるようになった。

社会に出て働き、年頃になって好きな人もできて、結婚をするって時に、母からこんな手紙をもらった。

「もう結婚する歳になったんだね。本当におめでとう。お母さん、少し寂しいけど、手元にはあなたがくれた沢山の絵や物語があるから大丈夫。これからうんと幸せになってね」

って。

何と母は、私が幼き頃書いていた物を大切に大切に取っておいてくれたのです。

ファイル何冊にもなる量の私にとっては、ごみ同然のものなのに。

実家に帰れば、そのファイルを見る事もできるんだけど、未だ恥ずかしくて見ていません。

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