一人だけでも俺を産んでくれてありがとうな

一人だけでも俺を産んでくれてありがとうな

私の婦人科系の出費がかさんでいて、我が家はあまり裕福じゃない。

だから息子には申し訳ないんだけれど、おもちゃなんかはお誕生日とクリスマスの年二回しか買ってあげてないんだ。

息子が6歳の誕生日に「欲しいものは?何でも買ってあげるよ。」って夫婦できいたとき、息子が言ったのは「妹か弟が欲しい」だった。

「ボクはこの先一生おもちゃ買って貰えんでええけん、弟妹が欲しい。」

ごめんね。

あなたに弟妹をあげられないお母さんでごめんね。

子宮が無くてごめんなさい。ごめんなさい、許してね。

頭が真っ白になってしまって、親の癖に取り乱して息子に縋り付いて泣いて謝ってしまったんだよね、私。

息子はビックリして「お母さんを泣かせてごめんなさい。」って泣きだした。

親としてなってないよね、私。息子を傷つけたよね。

本当にバカだった。

この前の、子供の日。

夫の親・兄弟・親戚、一同が集まった席でいつものように始まった大合唱。

「一人っ子はかわいそう」「ロクな大人にならん」

「今からでも第二子は遅くない」「今の医療なら、なんとかなるやろ?」

困った顔をして薄笑いを浮かべてテキトーに生返事をしてやり過ごすしか私達夫婦には方法がありませんでした。

うっかり事情が知れたら、もっと傷つけられる。

ああ、仕方無いが、我慢しよう、嵐が過ぎるまで・・・そう思ってた。

その時、今年小5の息子が、鋭い口調で言い出した。

「ロクな大人の ロク って何さ?」

「嫌そうに聞いてある人間に嫌な言葉を言い続けるのが ロク なんか?」

「ここにいるみんな、おれ以外はみんなキョウダイがいるロクな大人やろうもん」

「ロクな大人の ロク がこういうことなら、おれはロクな大人にならんでよか!」

「ああ、よかったったい。おれはロクな大人になれん一人っ子で」

「ちぃーともかわいそうなこと、なかやっか。一人っ子ばんざい!」

一同が静まり返ってきまり悪そうに視線をアチコチに泳がせ始めた時

「母さん、おれを産んでくれてありがとう。一人だけでも俺を産んでくれてありがとうな。」

照れくさそうに言って、ちまきを2〜3個引っ掴んで、

「△△のうちに遊びに行ってくるったい。いってきまーす!」飛び出していったよ。

次の週

「今日と明日は、おれが家事やるけん。母さんはゆっくりしときー。母の日やけん。お金かからんいい孝行やろもん。おれってあったまいー。」

今、息子は昼ごはんにとホットケーキを焼いているようです。

でもね、母の日のプレゼントは先週にもう貰ったと、私は思っているんだ。

えへへ、親馬鹿だけど、いい息子に育ってくれてうれしくて。

誰かに聞いてもらいたかったんだ。

おすすめの泣ける話

twitterリンク facebookリンク
Page TOPへ