一ヶ所だけカギが掛かってる引き出しがあった

一ヶ所だけカギが掛かってる引き出しがあった

兄貴死んで、約一年事故当時から動かせなかった兄貴の遺物を整理してたんだ。

整理してると懐かしものが出るわ出るわ。

昔兄貴が駄々こねて母ちゃん買ってもらったビックリマンのシールとか修学旅行で買ったよくわからん剣のキーホルダー、凍らせて氷の刃作ってた兄貴。

すると一ヶ所だけカギが掛かってる引き出しがあった。

カギも見当たらないし素手じゃ開かなかったからバール使ってこじ開けた。

中にはエロ本でも入ってんのかなって思ったけど入ってたのは兄貴が大切にしてた彼女との思い出の数々だった。

いつも家じゃ見せない顔で彼女とプリクラに映る兄貴。

本当に幸せそうだった

ついプリクラに魅入ってた母ちゃんと俺はしばらく無言になった。

兄貴はいつも俺のことを心配してた。二十歳で引きこもりで親戚からもほぼ見放されてた俺のことを兄貴は決して見放してはなかった。

俺が引きこもりを克服して就職したときにまるで自分のことように喜んでくれた兄貴。

東京で一人暮らしで生活苦しいのに回らないお寿司屋さんに連れてってくれた

ちょうど今日が命日だった。

兄貴が好きだったみたらしだんごを添えて母ちゃんと手を合わせた。

するとついに我慢の限界だった。年甲斐もなく大声で泣いてしまった。

兄ちゃんありがとう、兄ちゃんありがとう、って声が枯れるくらい泣いた。

母ちゃんも一緒に泣いた。

ゲームがうまくて運動もできる憧れの兄貴だった。自慢の兄貴でした。

兄ちゃんありがとう。安らかに眠ってください。

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