おばあちゃんにしてもらった『おんぶ』は、私の特権

じいちゃん、ばあちゃんのこと
私が幼い頃、おばあちゃんと一緒に住んでいた。

おばあちゃんは私を溺愛していたらしく私はおばあちゃんっ子だった。

母親は夜、飲み屋の仕事だからおばあちゃんと寝ることもあった。

父親は仕事か飲みにいったりして、いないことが多かった。



私が幼稚園に入る頃に下の兄弟が産まれ両親は下の兄弟につきっきり。

私は焼きもちを焼いて両親を困らせていた。

おばあちゃんは、下よりも私がかわいかったらしく、私のほうを可愛がってくれた。

そんなおばあちゃんは毎日、私にあることをしてくれていた。

2階建ての家で子供部屋が2階だったため、おばあちゃんが毎朝起こにきて階段で

『おんぶ』

をしてくれる。

私はおばあちゃんのおんぶが大好きだった。

おんぶをしてもらえる朝のその時間が大好きだった。

でもある日、しゃべれるようになってきた下の兄弟が、おばあちゃんにおんぶと駄々をこねていた。

おばあちゃんは『仕方ないわね』といった感じで下の兄弟をおんぶした。

おんぶされるのは私の特権だったのに…

特別だったのに…

とふてくされる私。

おばあちゃんはそんな私に気がつき、

「○○を下につれてったら、お前もおんぶしようか?」

と言ってくれた。

なのに私はいじけて

「いい!!」

自分で階段を下りた。

その日、おばあちゃんが家にいる最後の日だったのに。

次の日に、おばあちゃんは入院してしまうのに。

おばあちゃんは体調が優れない日が多くあったけど、病院が嫌いだったので母親が無理やり連れていったと聞いた。

結果はガン。

しかも末期。

それからおばあちゃんは、1年後にガリガリに痩せて亡くなってしまった。

あの日、本当はおばあちゃんにおんぶしてほしかった。

おばあちゃんが亡くなってから何年かして、その日を夢で見ていたよ。

夢の中の私が、おばあちゃんに「いい!」っていうのを後ろから見てるの。

おばあちゃん、せっかくおんぶしてあげるっていってくれたのに、意地はっていじけてごめんなさい。

あの頃、本当にありがとう。

大好きだったよ。

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